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精機製品:技術レポート

メガトルクモータにおける高精度位置決めのための位置検出

 最近、ダイレクトドライブモータの性能向上に関する技術開発の中で、高精度位置決め技術が注目を集めている。この背景の一環として、半導体ウェハや液晶ガラス基板に代表される被加工物の大型化がある。大型化した被加工物の周辺部は、従来と同じ精度では位置決め後の精度が不足する。その上、半導体、液晶のパターン加工自体の微細化も進んでいる。また、OA機器、通信機器、民生機器等の軽薄短小化にともなう微細加工のための位置決め高精度化要求もあり、高精度化ニーズへの対応は、ダイレクトドライブモータとしての重要課題となっている。以下、メガトルクモータで採用している位置検出器であるVR型多極レゾルバの特長と位置検出原理、及び高精度位置決めのための必要条件である位置検出器の高分解能化と高精度化について、現状の技術とNSKの取組みについて紹介する。

1. VR型多極レゾルバの特長と位置検出原理

 位置検出器として一般に普及している光学式エンコーダは、汎用ACサーボモータ等では実績があるが、ダイレクトドライブモータで必要とされる高精度、高分解能品はコスト的、及び耐環境性の点で問題となる場合がある。メガトルクモータで採用しているVR型多極レゾルバは、以下のような特長を持ち、かつ、高分解能化も比較的容易に達成出来る利点がある。

    1. モータの極数と同じ極数を持つ多極構造なので電気角内の絶対位置が確定し、
      コミュテーション(モータの転流制御)が容易
    2. モータ本体と一体構造なので、カップリング、連結機構が不要
      (バックラッシュ等がなく高精度)
    3. 振動、温度、オイルミストなどの影響を受け難く信頼性が高い
      次に位置検出原理について説明する。

 ロータは外周に等ピッチで100〜150個の極歯を有し、3相巻線されたステータと相対している。ロータが回転すると、ステータとロータ歯間のパーミアンス変化により、ロータの歯の1ピッチ分回転でステータ巻線のインダクタンスが1サイクル=電気角で360°変化する。このインダクタンス変化から、レゾルバ信号処理回路内のR/Dコンバータ(以下RDC)によって、電気角360°当り、10bit又は12bitのデジタル位置信号を得ることが出来る。12bitの場合は、例えばロータ歯数が150の場合は、150×212=614400パルス回転の位置検出分解能を得る事が出来る。

 図1にメガトルクモータで採用している位置検出回路のブロック図を示す。

図1:メガトルクモータの位置検出回路

図1:メガトルクモータの位置検出回路

2. VR型多極レゾルバの高分解能化

 VR型多極レゾルバの高分解能化としては、ロータ極歯数を多くすること、及びRDCの分解能を上げる二つの手段があるが、RDCの分解能を上げる方法が効果も高く、モータ形状の変更が不要であるという利点もある。
 図3はNSKで開発した14bit分解能(本例ではロータ歯数120のため、120×214=1966080分割)の1パルス送り位置決めの実測例である。1パルス送りの位置決めが確実に行われ、バックラッシュがないことがわかる。この測定はメガトルクモータを、時計方向/反時計方向に1パルスずつ合計30パルスの位置決めを行い、微小角回転をモータ回転中心から140mmの位置でギャップセンサにより移動距離として測定したものである。(図3参照)

図2:高分解能メガトルクモータ(1966080分割)のステップ送り位置決め精度

図2:高分解能メガトルクモータ(1966080分割)のステップ送り位置決め精度

図3:位置決め精度の測定方法

図3:位置決め精度の測定方法

3. VR型多極レゾルバの高精度化

 図1のブロック図に示すように、メガトルクモータは位置検出器の精度補正を行うことで、高精度位置決めを実現しているが、最近の高精度化要求に対しては、現状の補正では限界がある。
 現在NSKでは、以下の2点の効果を狙ってレゾルバラミネーションの形状の最適化に取り組んでいる。

  1. (1) 従来、メガトルクモータではモータと同一のラミネーションをレゾルバに使用していた。モータラミネーションは高トルク化に重点をおいて設計したため、精度誤差に影響する空間高調波は必ずしも少なくない。空間高調波の少ないレゾルバ専用のラミネーションを設計することで、精度誤差を少なくすることが出来る。
  2. (2) また、補正はロータ1歯について位置補正を行い、この補正データを全歯に適用することで実施している。ステータ極数の多極化により各歯間の精度誤差のばらつきを少なくすることで、1歯の補正データが全歯に適合出来るようになり、結果として補正後の精度も向上する。図4に従来品(モータと同じラミネーションを使用したレゾルバ)の補正後の精度、図5に新レゾルバ(上記(1)及び(2)による高精度レゾルバの補正後の精度データを示す。新レゾルバでは±5秒以下の精度が得られている。
図4:標準SSB 14型メガトルクモータ精度測

図4:標準SSB 14型メガトルクモータ精度測

図5:新レゾルバによる高精度

図5:新レゾルバによる高精度

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