テクニカルレポート | NSK専用軸受 | 真空用軸受−X線管用玉軸受−
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13.2 真空用軸受−X線管用玉軸受−

 X線発生管の回転陽極用の玉軸受は、高真空、高温、高速という厳しい条件で使われる。
 X線管は図1のような構造をもち、内部圧力は 0.13mPa(10-6 Torr)以下である。陰極(フィラメント)より陽極(ターゲット)に向かって熱電子が流れ、陽極上でX線が発生する。
 ロータはモータの一部であり、外から電磁的に駆動される。回転速度は、3 000〜10 000min-1 が多い。陽極の回転方式には、内輪回転及び外輪回転がある(図2)。一般に、内輪回転のほうが剛性が高く、軸受温度も低目であるが、構造は複雑になる。

 陽極の発熱のため、陽極側の軸受は最高 400〜500℃、反対側の軸受でも 200〜300℃ に達する。そのために軸受には、耐熱性に優れた高速度工具鋼が用いられる。
 X線管の多くは医療用であるため、静粛な回転が必要である。しかし、構造上、剛性を高めにくい上に、激しい温度変化のため、軸受の内部すきまが大きく変化するので、防振には不利である。そのため、軸受及びその周辺の設計には細心の注意が払われている。

 軸受は内径 6〜10mm のものが多く、図3に構造の例を示す。

(a) は打抜き保持器付き
(b) は外輪軌道全体を円筒面にしたもの
(c) は外輪軌道の片側を円筒面にして熱膨張による内輪・外輪のずれを軸方向に逃がすようにしたもの。

なお、(b)及び(c)は通常、総玉形の軸受である。

図1 X線管の構造例
図2 陽極の軸受と回転方式
図3 X線管用軸受の構造例
X線管用玉軸受の最大の問題点は、その潤滑方法である。真空で高温のため固体潤滑剤を用いるが、次のいずれかによることが多い。
(1) 保持器ポケット面に二硫化モリブデンなど層状構造の固体潤滑剤をつける。
(2) 玉や内輪・外輪軌道の表面に軟質金属(銀又は鉛)の薄い被膜をつける。
  方法の(2)は、多くは総玉軸受の場合であり、被膜のつけ方は、めっき、イオンプレーティングなどによる。

 軟質金属被膜をした玉軸受を真空中で耐久試験した結果を、次に示す。図4は、内径8mm、外径22mmの玉軸受を 0.13mPa(10-6 Torr)中で、9 000min-1、アキシアル荷重 20N{2kgf}、常温で回転させたときの耐久時間の比較である。図5は、そのときの回転トルクの時間変化である。
 玉だけをセラミックにした場合、無潤滑では軌道の摩耗が多かったが、軌道に被膜のあるときには、トルク変動も小さく安定している。図6は、更にハウジング温度を300℃にした場合、内径9.5mm、外径22mmの玉軸受をアキシアル荷重 5N{0.5kgf}又は 20N{2kgf}、9 000min-1 で回転させた試験の一例である。

図4 潤滑条件と耐久時間(常温)
図5 トルクと耐久性
図6 潤滑条件と耐久時間(高温)
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