テクニカルレポート | その他一般 | 軸受の回転速度と保持器の滑り速度
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12.4 軸受の回転速度と保持器の滑り速度

 転がり軸受の特長の一つは、滑り軸受に比べて摩擦の少ないことである。その理由は滑り摩擦に比べて転がり摩擦が小さいためである。しかし、転がり軸受においても多くの部分に滑り摩擦が生じるのは避けられない。
 その主なものは、保持器と転動体との間の滑り摩擦、保持器案内面の滑り摩擦、転動体と軌道面との間の弾性変位に基づく滑り摩擦、ころ軸受におけるつばところ端面との滑り摩擦などである。

 高速軸受においては、保持器と転動体との間の滑り摩擦、保持器案内面の滑り摩擦が一番問題になり、軸受の許容回転数は、この滑り摩擦によって左右されることにもなる。
 滑り軸受においては、速度限界を表わすパラメータとして、PV値が用いられるが、転がり軸受の滑り部分も同様に考えることができる。Pは転動体と保持器との間の、又は保持器案内面における接触圧力であり、普通の使用状態では軸受にかかる荷重にあまり影響されない。
 Vは滑り速度であり、したがって転がり軸受の速度限界は、通常、滑り速度のみ、言いかえれば、軸受の大きさと回転速度によって、ほぼ表わされる。
 従来、軸受の許容回転数に対する目安として、Dpw×n 値(dmn値)がしばしば用いられるがこれはすなわち、軸受内部の滑り速度を表わすものにほかならない。
 外輪静止、内輪回転で、外輪案内保持器の場合案内面の相対滑り速度 Ve は、式(1)で表わされる。


ここで、 de1 案内面直径(mm)
γ: 軸受の内部構造を表わすパラメータ
 
Dw 転動体直径(mm)
α: 軸受の接触角(°)
 Dpw(又はdm
転動体のピッチ径(mm)
ni 内輪回転速度(min-1


 深溝玉軸受62、63系列及び円筒ころ軸受NU2、NU3系列について、定数 Ke の値を、表2に示す。
 なお、内輪案内保持器の場合の滑り速度を Vi、保持器に対する転動体の最大滑り速度を Va とすると、およそ次のような関係になる。

 Vi ≒(1.15〜1.18) Ve (直径系列2の軸受)
  ≒(1.20〜1.22) Ve (直径系列3の軸受)
 Va ≒(1.05〜1.07) Ve (直径系列2の軸受)
  ≒(1.07〜1.09) Ve (直径系列3の軸受)

深溝玉軸受についての計算例
6210、6310について、ni=4 500min-1 のときの Dpw×n(dmn)及び滑り速度は、表1のようになる。

表1
表2 玉軸受62、63系列及びころ軸受NU2,NU3系列の定数Keの値
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