テクニカルレポート | その他一般 | 内輪・外輪と転動体の接触部における永久変形量
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12.2 内輪・外輪と転動体の接触部における永久変形量

 二つの物体が接触しているとき、その接触面内のある部分で、材料の弾性限度を超えるような荷重がかかったとすると、その部分で局部的な永久変形を生じる。軸受の転動面と軌道面のように、極めて精密に仕上げられた、しかも非常に硬い表面でも、微視的にみると完全な表面ではないので、真実接触面積は、見かけの接触面積に比べて驚くほど少なく、最初に接触する局部、例えば粗さ凸部の先端などは比較的小さい荷重で永久変形を生じる。このような微視的な永久変形は、軸受の機能にはほとんど影響がなく、単に軌道面からの反射光が変化する(走行跡がつく)くらいのものである。
 ところで、荷重が更に大きくなると、永久変形量も増えて、ついには、巨視的にも見分けられるようになる。図1はその様子を示したものである。すなわち、玉軸受における点接触では、荷重の小さい間は、Hertzの理論どおり、弾性変位量は荷重Qのp乗(玉軸受のとき p=2/3,ころ軸受のとき p=0.9)に比例するが、荷重が大きくなると、永久変形量が増えて、弾性変位の理論値からのずれが大きくなる。
 なお、通常の軸受においては、総永久変形量 δq のうち、約1/3は転動体に生じ、約2/3は軌道輪に生じる。

図1

 12.2.1 玉軸受の場合
 永久変形量 δq も、荷重Qの関係として表わされ、その関係は、A.Palmgrenによって玉軸受に対して式(1)のように与えられている。


ここで、 δq 転動体と軌道輪との間の総永久変形量(mm)
Q: 転動体荷重(N),{kgf}
Dw 転動体直径(mm)
ρI1I2 及び ρII1II2:物体IとIIとの接触点における主曲率半径の逆数(1/mm)

式(1)を δq とQとの関係式で表わすと、式(2)のようになる。


定数Kの値は、軸受系列と内径番号ごとに表1による。Ki は内輪と転動体、Ke は外輪と転動体との接触における定数である。

表1 深溝玉軸受における定数Kの値

一例として、深溝玉軸受の62系列について δq とQとの関係を図示すると、図2のようになる。

図2 転動体荷重と永久変形量


 12.2.2 ころ軸受の場合
 ころ軸受の場合、転動体と軌道輪との間の永久変形量 δq と荷重Qとの関係は、玉軸受と同様A.Palmgrenによって式(3)のように与えられている。


ここで、 Lwe ころの有効長さ(mm)
ρI、ρII 物体IとIIとの接触点における主曲率半径の逆数(1/mm)

このほかの量記号は、12.2.1式(1)と同じである。
式(3)を δq とQとの関係式で表わすと、式(4)のようになる。


定数Kの値は、軸受の呼び番号ごとに表2[PDF: 144KB] による。Ki は内輪と転動体、Ke は外輪と転動体との接触における定数である。

一例として、円筒ころ軸受のNU2系列について δq とQとの関係を図示すると、図3のようになる。

図3 転動体荷重と永久変形量
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