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テクニカルレポート | その他一般 | 軸受システムの設計に対するFEMの応用 |
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12.11 軸受システムの設計に対するFEMの応用
機械の設計段階で転がり軸受を選定する場合、軸やハウジングの寸法・精度・材質などに加えて、軸受周囲の機械構造や環境をも含めた動的・熱的な問題の検討が必要になることがある。
例えば、機械に組み込まれた軸受の実荷重分布と寿命の予測、異材質の組合せなどによる熱変形差に起因する過負荷やクリープの問題、あるいは、軸受の昇温・温度分布の推定などである。
NSKでは、このような軸と軸受システムの解析・検討に有限要素法(FEM)を用いて、軸受の最適設計を行なっている。
ここでは、熱伝導に関する問題について、FEMを利用した解析例を示す。図1は、軸とハウジングの外表面を水冷する場合、軸受の熱抵抗はめあい部分の熱抵抗を考慮して、圧延機用軸受の定常状態における温度分布を計算した例である。
この解析では、昇温による軸受の内部すきまの減少量や軸と内輪との間のはめあいにおけるすきまの増加量などがわかる。図2は、旋盤主軸台について、回転開始後、時間の経過に伴う温度分布変化を計算したものである。図3は、そのときの軸受主要部分の温度変化の計算例である。この例では、回転開始直後に軸受予圧が増加し、約10分後に軸受予圧荷重が極大値をとることなどが予想できる。
軸受システムのFEM熱解析においては、発生熱量の算定や周囲環境との境界条件の設定が難しいことが多い。NSKでは、FEMを更に有効利用できるように、FEM解析したデータの蓄積、並びに解析技術の向上を進めている。
FEM解析を応用した例として、厚板圧延機においてハウジングを支持するロッカープレートの形状が、円すいころ軸受(φ489 ×φ635 ×321)の寿命とハウジング応力に及ぼす影響について検討した結果を紹介する。図4は、解析の対象としたハウジングとロッカープレー卜の概略である。ロッカープレート内側の逃し量lを種々変えて解析した結果、次のことがわかった。
| (1) |
ハウジングに生じる応力(最大主応力)の最大値 σmax は、ハウジング最下部に生じる。 |
| (2) |
lの増加とともに σmax は増大するが、材料の疲労限に比べると小さい。 |
| (3) |
軸受の転動体荷重分布はlによって大きく変化し、l/L=0.7 付近で軸受寿命は最大となる。 |
| (4) |
ハウジングに発生する応力と軸受寿命から、この例では、l/L=0.5〜0.7 が適切と考える。 |
図5は、l/L≒0.5 のときのハウジングの応力分布と変形及び転動体荷重分布の計算結果である。
図6は、lの変化に伴うハウジングの応力と軸受寿命の計算結果である。
以上のようにFEM解析は、軸受システムの設計に大きな役割を果たしており、その解析対象は表1に示すように多岐にわたっている。このほか、ころ軸受のつばの強度解析、保持器の固有モード解析など、軸受部品単体についても解析を行なっており、NSK軸受の設計の高度化に役立てている。
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