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テクニカルレポート | 軸受材料 | 保持器用ナイロン材の特性 |
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10.8 保持器用ナイロン材の特性
近年、各種の転がり軸受において、金属製保持器に代えてプラスチック製保持器が多用されるようになってきた。プラスチック保持器を使用することの利点を要約すると、次のようになる。
| (1) |
軽量であるため、高速回転用途に好適である。 |
| (2) |
自己潤滑性があり、低摩耗であるため摩耗粉を出しにくく、軸受内部の高い清浄度を保持できる。 |
| (3) |
低騒音であり、静かな環境に適す。 |
| (4) |
高耐食性があり、さびることはない。 |
| (5) |
耐衝撃性であり、高いモーメント負荷に耐える。 |
| (6) |
複雑な形状の成形が容易であり、保持器性能向上に対する保持器形状選択の自由度が大きい。 |
一方、プラスチック保持器は金属製保持器と比較すれば耐熱性が低く、使用温度範囲(通常120℃以下)が限られている。また、ある種の化学薬品に侵されるため、使用に際しては十分注意する必要がある。
ポリアミド樹脂はプラスチック保持器材料の中でも代表的なものであるが、その中でもナイロン66は高い耐熱性と機械的特性をもっているので多用されている。
ポリアミド樹脂の特徴は、分子鎖中に水素結合能を有するアミド結合(−NHCO−)を含み、その濃度と水素結合の存在状態が、材料の耐熱性、機械的諸特性、吸水性などを規制する点にある。ナイロン66のもつ高い吸水性(図1)は、寸法変化や剛性低下をもたらすため一般的には短所と見なされている。しかし、保持器材料としてみると、吸水は材料の可とう(撓)性を向上させ、転動体に対して大きな抱き代を必要とする保持器に対して軸受組立時の保持器破損を防止する効果がある。また、使用時の衝撃吸収に有効なじん(靭)性を向上させ得るなど、むしろ長所と見なすことができる。
ナイロンは少量の繊維強化で強度や耐熱性が著しく改良されるため、保持器の形式や用途によってはガラス繊維強化材料が使用されるが、軸受組立上必要な保持器の変形性確保の観点から、比較的低いガラス繊維含有量の材料が多用されている(表1)。
ナイロン66は、マイルドな使用条件の下では極めて優れた性能を示すことから、プラスチック保持器材料の主流として広い用途をもっている。しかしながら、高温の油中のような過酷な条件の下ではしばしば急激に劣化するため、使用に際して十分注意する必要がある。
表2には、種々の環境条件下での各種ナイロン66材料の耐久性能を、強度が初期値の50%に低下するまでの時間として例示している。油中における材料の劣化は油の種類によって異なり、極圧添加剤を含む油中では劣化が著しい。硫黄系の極圧添加剤は、りん(燐)系の極圧添加剤よりも劣化を促進することが知られており、温度が高いほど劣化は顕著となる。
一方、グリース中や大気中では、油中と比較して材料の劣化は少ない。
また、ガラス繊維強化材料では、ガラス繊維による補強効果が材料劣化に基づく強度低下を抑制し、耐久時間を延長する。
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