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ベアリングドクター
1.まえがき
2.軸受の取扱い
3.軸受の保守管理
4.運転点検と異常処置
5.軸受の点検
6.走行跡と
  荷重のかかり方
7.軸受の損傷と対策
ベアリングドクター

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4.運転点検と異常処置
 運転中の点検項目としては、軸受の回転音、振動、温度、潤滑剤の状態などがあり、次のとおりです。運転中に異常な状態を発見した場合には、前述の表2.2を参照してください。


4.1.軸受の回転音
 運転中の軸受の回転音は聴音器などを用い、音の大きさと音質を調べます。軸受のわずかなフレーキングなどの損傷でも、異常音や不規則音を発し聴音器で聞きわけることができます。


4.2.軸受の振動
 軸受の異常は、運転中の機械の振動測定によって知ることができます。特別な振動測定器(周波数分析器など)を用いれば振動の大きさ、周波数分布により異常内容を推定することができます。測定した数値は、軸受の使用条件やピックアップの取付け位置などにより異なってくるので、機械ごとの測定値を活用して判定基準を決めておくことが必要です。
 又、運転中の軸受の振動の様子から異常を予知することは操業上重要です。そのための装置については、NSKパンフレットPr.No.410(ベアリングモニター)を参照してください。

4.3.軸受の温度
 軸受温度は、一般にハウジングの外面の温度から推測できますが、油穴などを利用して直接軸受外輪の温度を計ることができれば、より適切です。
 通常、軸受温度は、運転開始のあと徐々に上昇し、1〜2時間で定常状態になります。軸受の定常温度は機械の熱容量・放熱量・回転数及び荷重によって異なります。
 潤滑、取付けなどに不具合があると、軸受温度は急激に上昇し、異常な高温になることがあります。このようなときには、運転を停止し対策を採る必要があります。

4.4.潤滑剤の効果
 軸受の潤滑の目的は、軸受を構成する軌道輪、転動体及び保持器の相互に接触する部分、すなわち軌道面、転動面や滑り面に油膜を形成して、それらの面同士が直接接触するのを防ぐことであり、次のような効果があります。
  1. 摩擦及び摩耗の減少
  2. 疲れ寿命の延長
  3. 摩擦熱の搬出、冷却
  4. 異物の侵入防止
  5. さびや腐食の防止
4.5.潤滑剤の選定
 軸受の潤滑方法には、グリース潤滑と油潤滑に大別されます。軸受の機能を十分発揮させるためには、その使用条件、使用目的によく適合した潤滑方法を用いることが重要です。グリース潤滑と油潤滑の得失を、表4.1に示します。
  1. グリース潤滑
     グリースは基油・増ちょう剤及び添加物からなる潤滑剤です。選定にあたっては、軸受の使用の使用条件によく適合するグリースを選ぶことが必要です。特に、同種類のグリースでも銘柄による性能の差が大きい場合もあり、選定にあたっては注意が必要です。
    グリースのちょう度と用途例について、 表4.2に示します。


  2. 油潤滑
     油潤滑には油浴法、滴下給油法、飛まつ給油法、循環給油法、ジェット給油法、噴霧給油法及びオイルエア給油法があり、グリース潤滑より高速又は高温の用途に適しています。特に、熱を外部に放出する必要のある場合には、油潤滑が適しています。
     油潤滑では、軸受の運転温度において適正な粘度となる潤滑油の選定が重要になります。一般には、回転速度が速いほど低粘度油を用い、荷重が大きくなるほど高粘度の潤滑油を使用することになります。
    普通の使用条件では、その運転温度において表4.3に示す必要粘度が目安になります。
    選定の参考として、潤滑油の温度と粘度との関係を図4.1に示し、軸受の使用条件における潤滑油の選定例を表4.4に示します。




4.6.潤滑剤の補給と交換
  1. グリースの補給間隔
     高品質のグリースであっても、使用時間の経過とともに性状は劣化し、潤滑機能は低下するので、適宜、グリースの補給を行わなければならない。グリースの補給間隔を運転時間で示すと、図4.2の(1)、(2)がおおよその目安となる。図4.2は、高品質のリチウム石けん - 鉱油系のグリースを用いて、温度70℃、荷重は普通荷重(P/C=0.1)の場合のグラフである。
    • 温度
       70℃を超える場合には、軸受温度が15℃上がるごとに、グリースの補給間隔を半減させる必要がある。
    • グリース
       特に玉軸受の場合、使用するグリースによって更に補給間隔を延ばすことができます。(例えば、高品質の合成油系リチウム石けんグリースでは図4.2に対して約2倍の補給間隔をとることができます。
       また、70℃以下で使用する場合は鉱油系リチウム石けんグリースや合成油系リチウム石けんグリースを用いることが適当です)詳しくはNSKにご相談ください。
    • 荷重
       荷重により補給間隔は変わります。図4.2(3)に示す係数を乗じてください。P/Cが0.16を超える場合はNSKにご相談ください。
  2. 潤滑油の交換周期
     潤滑油の交換周期は、使用条件や油量などによって異なります。一般に運転温度が50℃以下で、ごみの少ない良好な環境下で使用される場合には1年に1回程度の交換とします。油温が100℃程度になる場合には、3か月又はそれ以内の交換とします。


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