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12.3 潤滑剤

 12.3.1 潤滑グリース
グリースは、基油、増ちょう剤及び添加剤から成る半固体状の潤滑剤である。グリースの種類と一般的な特性を、表12.2[PDF: 132KB] に示す。
 同種類のグリースも、銘柄による性能の差が大きいので、選定上注意が必要である。

 (1) 基油
 グリースの基油には、鉱油又はシリコーン油、ジエステル油などの合成油が使われる。
 グリースの潤滑性能は、主として基油の潤滑性能によって決まるので、潤滑油の選定の場合と同様に基油粘度を重視しなければならない。一般に、低温や高速には低粘度基油のグリースが適しており、高温や高荷重には高粘度基油のグリースが適している。しかし、グリースでは、増ちょう剤も潤滑性能に関係するので、潤滑油の場合と同一に扱うことはできない。

 (2) 増ちょう剤
 潤滑グリースの増ちょう剤として、各種の金属石けんのほかにべントナイトなどの無機質増ちょう剤、あるいはウレア、ふっ素化合物などの耐熱性有機質増ちょう剤が使われる。
 増ちょう剤の種類とグリースの滴点(1)とは密接な関係があり、一般には、滴点の高いグリースは使用可能の上限温度が高い。しかし、高滴点増ちょう剤を使ったグリースでも、基油の耐熱性が低い場合には、その上限温度は低くなる。
 グリースの耐水性は、増ちょう剤の耐水性によって決まる。ナトリウム石けんグリースやナトリウム石けんを含む混合基グリースは、水のかかる所や高湿度の使用箇所では乳化するので使用に適さない。

 (3) 添加剤
 グリースには、必要に応じて酸化防止剤、防せい剤、極圧剤などが添加されている。
 重荷重や衝撃荷重を受ける使用条件では、極圧添加剤の入ったグリースを使用し、長期間グリースを補給しない場合には、酸化防止剤の入ったグリースを選定する。

 (4) ちょう度
 ちょう度は、グリースの「軟らかさ」を示す値であり、使用中の流動性を表わす目安となる。表12.3にグリースのちょう度番号、ちょう度と使用条件との一般的な関係を示す。

 (5) 異種グリースの混合
 原則として、銘柄の異なるグリースを混合してはならない。異種類の増ちょう剤を使ったグリースを混合すると、グリース構造を破壊することがある。
 また、増ちょう剤が同種類のグリースでも、添加剤などが異なるために、お互いに悪影響を及ぼすことがある。


 注 (1)滴点とは、規定の小容器中でグリースを加熱した場合、グリースが流動状態となり、滴下するようになる温度。

表12.3 グリースの ちょう度と使用条件・用途


 12.3.2 潤滑油
 軸受の潤滑油には、耐荷重能が高く酸化安定性が良く、防せい性能の良い高度精製鉱油又は合成油が用いられる。
 潤滑油の選定に当っては、運転温度において適正な粘度となる油の選定がまず重要なことである。
 粘度が低過ぎると、油膜形成が不十分となり、異常摩耗、焼付きの原因となる。逆に粘度が高過ぎると、粘性抵抗により発熱したり、動力損失を大きくする。油膜の形成には軸受の回転速度や荷重も影響する。
 一般には、回転速度が速いほど低粘度油を用い、荷重が大きくなるほど、軸受が大形になるほど高粘度の潤滑油を使用する。
 普通の使用条件では、運転中の軸受周りの油温において表12.4に示す粘度が目安となる。
 選定の参考として、潤滑油の温度と粘度との関係を図12.11に示し、軸受の使用条件における潤滑油の選定例を表12.5に示す。

表12.4 軸受形式と潤滑油の必要粘度
図12.11 潤滑油の粘度と温度との関係
表12.5 軸受の使用条件と潤滑油の選定例

油の交換周期
 油の交換周期は、使用条件や油量などによって異なる。
 一般に、運転温度が50℃以下で、ごみの少ない良好な環境下で使用される場合は、1年に1回程度の交換でよい。しかし、油温が100℃程度になるような場合には、3か月ごとかそれ以内で交換するようにする。
 また、水分の浸入がある場合や、油浴潤滑で異物の混入がある場合には、更に交換の周期を短かくする必要がある。
 銘柄の異なる潤滑油の混合は、グリースの場合と同様に避けなければならない。

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