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2005年3月期 事業環境・業績
2005年3月期は、グループとして売上・利益ともに過去最高を更新する、力強い結果を残せた1年となりました。全世界的に良好だった事業環境がフォローウィンドとなったことは確かですが、これまでに実行してきた構造改革・体質改善など、「自助努力」の成果が着実に収益基盤の強化に寄与し、このような好業績達成への原動力になったと考えています。
売上高は前期比11.3%増の5,810億円、営業利益は前期比47.4%増の383億円、経常利益は前期比73.1%増の331億円、当期純利益は前期比56.4%増の223億円となり、2004年3月期にスタートした3ヵ年中期経営計画の年度目標を2年連続で達成することができました。
収益面を事業別に見ていきますと、「産業機械軸受事業」は通期で利益率10%を超え、会社収益全体に大きく貢献しました。「自動車関連製品事業」は増産対応によるコスト増の影響で利益は横ばいに留まりましたが、「精機製品事業」は4期ぶりに通期で黒字転換し、収益が大幅に改善しました。
一方、地域別には、日本は堅調な需要に加え、設備投資効果、調達費用削減、価格是正効果などにより増益となりました。米州では需要環境が改善し、欧州は拡販効果もあり、それぞれ増益となりました。アジアでは、タイは好調な需要により増益となりましたが、中国での投資の先行費用が影響し全体では減益となりました。
バランスシート改革活動につきましては、引き続き成果が出ています。棚卸資産回転率は前期の6.6回転から7.4回転へと改善しました。また、有利子負債につきましては期末残高が2,072億円と、前期末に比べて394億円減少し、負債資本比率(D/Eレシオ)も1.1まで改善しました。ROEにつきましては中期経営計画の目標に掲げておりました10%をクリアし、11.9%に達しました。
このような好業績を支えたもう一つの要因として、当社が昨年実施しました組織改革の効果もあるものと考えています。従来の「製品別」組織体制から「ユーザー」を意識した事業別組織体制への移行、そして内部監査機能とリスクマネジメント強化、経営の透明性と機動性アップを目的とした新コーポレートガバナンス体制導入の効果が、NSKグループ全体に浸透し始めていると感じています。
また、配当につきましては、このような業績を受け、4.5円増配し、一株当たり11.0円とさせて頂きました。
2005年3月期後半からは半導体・液晶関連需要の鈍化、鋼材価格上昇や供給不安といった懸念材料が顕在化しています。しかし、引き続き好調が見込まれる日系自動車メーカーのグローバルな生産拡大や民間設備投資需要の好調持続もあり、また、「体質改善」と「成長戦略」を今まで以上に強力に推進することによって、2006年3月期は当期を上回る売上・利益の達成をめざします。
2期連続最高益更新に向けて、NSKは既に全社一丸となって動き出しています。
新たな成長ステージに向けて
変化への対応力強化
グローバルな経済情勢の変化、市場構造の複雑化、リスクの多様化などにより、事業環境の変化を予測することがますます難しくなっています。この状況の中で、外部環境の「変化」をいかに機敏に察知し、対応するかがマネジメントに課される最大の課題であると考えています。
企業規模が大きくなればなるほど、この「機敏さ」を確保することが難しくなっていきます。当社ではこれまでに行ってきた「選択と集中」による事業の再編や新事業体制への移行、体質改善に向けた様々な施策を通じて、このような外部環境の変化に対する機動力を確保すべく努めてきました。今後は変化への対応力をさらに強化し、需要の着実な取り込みによるトップラインの成長と同時に、収益力強化によるボトムラインの向上を図り、ワンランクアップしたステージにふさわしい事業運営をめざしていきます。
セグメント別売上高・営業利益構成(2005年3月期)
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現在の事業構造の姿
NSK総売上の約54%を占める自動車関連製品事業は事業規模の拡大という意味では成長戦略の推進役であり、同時に安定した収益の基盤を担う事業です。一方、既に営業利益率10%以上を稼ぎ出している産業機械軸受事業は、今後の収益の成長ドライバーになると考えています。精機製品事業は景気変動の影響を受けやすい事業ですが、需要が減速した場合でも一定の収益を確保できるよう、体質改革を推進しており、景気好調時には大きく収益に貢献することを期待しています。
収益構造の強化
今後、収益力を一層向上させるため、「精機製品事業」の体質改革のスピードアップに加え、安定的な収益の基盤としての「自動車関連製品事業」と収益の成長ドライバーとしての「産業機械軸受事業」に焦点を当てていきます。
需要が安定している自動車関連製品事業は、当社の収益ベースを形成する極めて重要な事業分野です。複雑化するお客様のニーズを先取りする「技術力」、そしてお客様との厚い信頼関係のもとに構築した「共同開発能力」、生産・販売・技術のグローバルネットワークに基づく「対応力」を最大限に活かし、年1〜2%と推定されるグローバル自動車生産の伸び率以上に当社の自動車関連製品の売上を伸ばしていく所存です。そのため、今後の需要の伸びが期待でき、また自動車関連製品事業の収益力アップに貢献する戦略商品として、自動車軸受ではハブユニット軸受とニードル軸受、自動車部品ではEPS(電動パワーステアリング)とオートマチックトランスミッション(AT)関連部品に重点的に経営資源を配分します。
一方、産業機械軸受事業のさらなる収益力強化のカギを握る製品はころ軸受と考えています。ころ軸受は、多用途・多品種の産業機械において、当社の製品開発力、応用技術力、材料技術力などをベースとした技術の「総合力」が発揮できる製品です。マーケットを「面」として捉える強力な情報収集力、多種多様の生産形態に対応しうる生産技術力などと合わせ、「総合ソリューション」を提案し、グローバルに信頼を獲得していきます。
また、アフターマーケット(補修市場)への取り組み強化も、産業機械軸受事業の大きなポイントとなります。アフターマーケットは、補修需要が中心になりますが、お客様との活発なコミュニケーションにより信頼関係を構築し、保守・点検、トレーニングなどの取り組みを通じてブランド力の向上を図っています。当社は2004年7月にアフターマーケット事業本部を組織し、グローバルな補修需要に持続して専念できる体制を築き、産業機械軸受事業の収益力のさらなる向上に努めています。
新興市場での飛躍
一方、「新しい市場」の確保も今後の成長戦略には不可欠です。
まずは中国です。これまで産業機械、自動車関連向けなどの生産拠点の拡充とともに、お客様の技術ニーズの取り込み、開発・設計対応のための技術センター設立などを実行してきました。今後は中国の巨大な需要を最大限に取り込むため、販売体制の強化を図ります。2005年には100%出資の販売法人の設立を予定しています。中国市場において生産・販売・技術の一貫体制を確立し、他社に先んじた事業展開により、中国でのNo.1軸受メーカーの地位を確固たるものにしていきます。
また、東南アジアに有する数多くの活動拠点をフル活用し、需要の急拡大が見込まれるタイ、インド、ベトナムなどへの事業展開も加速していきます。
人材の強化
ここまで新たな成長に向けた課題を述べてきましたが、これらの実現を根底から支えるファクターが「人材」であることは言うまでもありません。NSKのさらなる成長に向けて、当社の有する高度な技術力とグローバルな事業展開ノウハウなどの伝承が必要不可欠です。現在、全社的・体系的な人材育成システムのレベルアップを図るとともに、2004年12月に設立した「モノつくりセンター」を活用し、現場における技能レベルの維持・向上に取り組んでいます。グローバルな厳しい競争に立ち向かい、果敢に攻め続け、新たなNSKのプレゼンスを確立していくためには、次世代のNSKを担う人材の育成がマネジメントとしての重要な仕事と認識しています。
2006年3月期の課題 生産力の強化を推進
2006年3月期はまさにNSKの新たなる成長に向けての「足固めの年」となります。鋼材・原油価格の上昇や米国・中国の経済動向の不透明感などが懸念されますが、2期連続で売上・利益ともに過去最高を達成するためにも、外部環境に起因するコストプッシュ要因への価格是正や合理化努力などによる対応、製品供給力の強化、海外事業の収益力強化などの課題を中心に、全社一丸となって挑戦を続けます。
設備投資額は現在の強い需要の拡大に対応し、2005年3月期の369億円に続き、2006年3月期も400億円と減価償却費を上回る金額を計画しています。特にハブユニット軸受・ニードル軸受・ころ軸受・EPS・AT関連部品など、戦略商品を中心とした能力増強を着実に実行していきます。
海外事業に目を向けますと、国内事業に比べて収益力がまだまだ十分とは言えません。2005年は中国の常熟恩斯克軸承有限公司やNSKステアリングシステムズ・ヨーロッパ(ポーランド)社などの工場が本格稼動します。これらの新規生産拠点のスムーズな立ち上げを図るとともに、各拠点の収益力向上に向けて、戦略整合性のある取り組みをグループ力を結集して推進します。
特に強調したいのは、グループとして初めて6,000億円規模の売上高をめざすにあたり、またこれらの課題を確実にクリアするために、今期はメーカーとしての原点に立ち返り、改めて「生産力の強化」という基本課題に集中的に取り組みたいということです。
当社が取り組んでいる「APS(生産革新)活動」は、生産・販売・技術・管理といった各機能を強力に連携させ、無駄を省き、利益を生み出す体質の実現をめざしています。「売上高6,000億円」といった新たなステージに踏み出そうとしている今、APS活動をトータルサプライチェーンマネジメントの観点から全社活動のみならず、協力工場やサプライヤーへと広げ、加速させていきます。
過去の発想にとらわれず、トータルサプライチェーンを通じてさらに徹底的にAPS活動に取り組むことによって生産力の一段の強化を実現することが、変化への対応力や収益力・競争力の飛躍的向上、ゆるぎない品質の確保につながると確信しています。
ステークホルダーの皆さまへ
NSKは中期ビジョンとして「ダントツの技術力とQCDS(Quality・Cost・Delivery・Service)で世界をリードする顧客満足度(CS)No.1の企業」をめざしています。このビジョンを達成することにより、高い収益性が確保でき、株主、投資家、お客様、サプライヤー、そして従業員など、 すべてのステークホルダーの皆さまに喜ばれ、信頼される企業になれると確信しています。今期は2004年3月期にスタートした中期経営計画の総仕上げの年として、また次期中期経営計画に向けての足固めの年として、これらの課題を着実にクリアし、NSKの新たな成長ステージに踏み出していきます。
これからも変わらないご支援とご助言を賜りますようお願い申し上げます。
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2005年7月1日
取締役
代表執行役社長

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