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NSKアニュアルレポート2003
営業の概況
自動車部品

自動車本部長 篠原三知夫
   自動車部品の売上高推移
事業概要

 自動車部品事業は、ステアリング製品、オートマチックトランスミッション関連部品、ハーフトロイダル CVT ユニットによって構成されます。ステアリングシステムはハンドル制御をホイールに伝える操舵機構であり、当社が扱っている製品としては、ステアリングコラム、ジョイント、電動パワーステアリング(EPS)などがあります。オートマチックトランスミッション用部品は、摩擦材やワンウェイ・クラッチなどの高機能要素部品およびその応用製品です。NSKでは特に、EPS、ハーフトロイダル型 CVT 、自動車用電動リニアアクチュエータの3つを成長戦略製品と位置付けています。なお、シートベルト事業については、自動車部品業界の再編の動きのなかで単独での生き残りは困難と判断し、2003年4月にスウェーデンのオートリブ社へ完全譲渡しました。

当期の業績

 国内販売については、EPS が大きく増加したほか、オートマチックトランスミッション関連部品が好調で、ステアリングコラムは微減となったものの全体としては前期に比べて大きく伸張しました。海外における売上も順調に拡大し、アジアの売上がタイ現地生産で倍増したのをはじめ、欧州、米州とも前期を上回りました。
 その結果、当期の売上高は前期比224億95百万円(17.6%)増加して1,506億63百万円となり、営業利益は38億77百万円増加、前期の約11倍にあたる42億60百万円となりました。

成長戦略

 自動車市場は、アジアの市場拡大を背景に、現在の世界自動車生産台数5,600万台が2008年には6,300万台を超えると予測されています。その一方で、カーメーカーからの価格・品質要求、「環境と安全」に対する社会的意識はますます高まっており、世界の自動車部品メーカーは熾烈な技術・コスト競争を展開しています。
 このような環境下、NSKは、世界トップクラスのシェアを誇る EPS を中心に、グローバルなステアリングシステム・サプライヤーを目指し、その基盤作りを進めています。

  1. ステアリング事業の分社化
     2001年に EPS 事業を分社して設立したNSKステアリングシステムズ株式会社(NSSH)に、2002年10月ステアリング事業を分社統合し、ステアリングコラム・ジョイント事業を完全分社化しました。同社が海外のステアリング生産拠点も統括することで事業責任体制が明確となり、グローバルな環境変化に対して迅速な意思決定・戦略策定を行う体制が整いました。

  2. 成長戦略製品の販売拡大
     EPS 、ハーフトロイダル型 CVT 、自動車用電動リニアアクチュエータを成長戦略製品として注力しています。

    1) EPS は、車の燃費性能への貢献に優れており、環境規制の厳しい欧州を中心に急速な需要拡大が見込まれます。NSKでは電子制御などの専門技術者を中心に人員を増強するなど、性能・コスト両面での競争力強化による受注拡大を目指しており、現在の195万台、377億円の売上を、2010年には600万台、1,000億円に拡大する計画です。

    2) ハーフトロイダル型 CVT は、1999年に当社が世界で初めて実用化に成功した無段変速機です。2006 年頃から本格的な普及段階に入ると予想されており、当社では小型車から大型車まで搭載車種を広げるべく、さらなる製品開発に取り組んでいます。

    3) 自動車用電動リニアアクチュエータは、自動車の電動化・バイワイヤ化の流れをうけ、可変バルブ機構用、AMT シフト・セレクト用、電気油圧ブレーキ用などの幅広い用途への新規需要が期待されます。すでにユーザーからの活発な引き合いを受けて販売拡大に取り組んでいます。

  3. グローバル供給体制の強化
     好調な北米市場では生産が拡大し、さらに日系メーカーおよび米系メーカーからの引き合いも多く、今後も大幅な需要拡大に対応していきます。さらに、EPS を中心に需要が拡大する欧州、今後市場の拡大が期待される中国といった市場環境において、様々な角度からグローバル供給体制を検討しています。成長市場での拠点作りと価格競争力強化のため、2002年9月には中国にステアリング製品の生産会社を設立しました。

  4. 新製品の開発
    「環境と安全」など、カーメーカーのニーズを先取りした技術開発により、新規需要を開拓します。特に、燃費向上効果が高く環境要求に応える製品である EPS と CVT では、高出力ブラシレスモータやオフセットラックタイプ等の新システム EPS 、パワースプリット CVT などの新製品群が生まれつつあり、従来製品では困難だった大型車種への搭載が可能となりました。
     この他にも、生産革新活動(APS)を取り入れた生産効率の向上、新規サプライヤー開拓などによる調達コスト削減、開発初期段階からの品質向上活動を実行し、カーメーカーの要求に的確かつ柔軟に応える製品供給を目指します。
 EPS 需要予測(当社推定)    地域別売上高構成
   
地域別概況

日本
 ステアリング事業を完全分社化し、NSKステアリングシステムズ株式会社(NSSH)としてグローバルにステアリング事業を統括する体制を構築しました。

米州
 北米初の高級車向け電動チルトテレスコタイプを含むステアリングシステムの大型案件を受注、2004年より年間18万台の供給を開始する予定です。

欧州
 欧州事業の再構築の一環として、2002年末に英国の3工場を1工場に統合、生産効率の向上を図ります。

アジア
 2002年9月、ステアリング事業の中国展開における戦略拠点として、広東省にステアリング製品の生産会社、東莞恩斯克転向器有限公司(NSK STEERING SYSTEMS DONGGUAN CO.,LTD.)を設立、2004年7月の生産開始を予定しています。当面は中国に進出している日系カーメーカーからの現地需要に対応しますが、将来的には欧米カーメーカーからの受注や、他地域への輸出にも対応していく予定です。

2002年度地域別販売の生産地別構成

 トピックス


高出力 EPS システム
 現在、排気量1,000cc以下の軽・小型車を中心に普及している EPS を大型車に搭載するためには、ステアリング操作をアシストするモータの出力をより大きくすることが課題でした。NSKは、独自開発の高出力ブラシレスモータを採用することで、このハードルを乗り越えることに成功しました。従来のモータは、ブラシを介してモータに供給する電流を切り替え回転力を得ていましたが、電子制御で電流を切り替えるブラシレスモータはエネルギー効率に優れており、高出力が可能です。当社開発のブラシレスモータは、他社製品に比べてより大きな出力を実現しており、これによって2,000cc以上の大型車への EPS 普及を図ります。

中国にステアリング事業の生産拠点を設立
 現地でのビジネスチャンスを取り込み、また当社ステアリング事業のグローバル生産体制を強化するため、2002年9月に中国広東省にステアリング製品の生産会社、東莞恩斯克転向器有限公司(NSK STEERING SYSTEMS DONGGUAN CO.,LTD.)を設立しました。同社は、2004年7月に生産開始予定です。NSKの技術と中国の安価なインフラの結合によって、高品質でコンペティティブな価格でのステアリングコラム・ジョイント生産を実現、中国国内へ完成品を供給するだけでなく、日本をはじめとする海外への製品・部品の供給拠点に発展することを期待しています。また、将来的には EPS の生産ニーズへの対応も見込んでいます。



EPS 搭載図

東莞NSK完成予想図
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