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NSKアニュアルレポート2003
社長メッセージ:NSKの株主並びに投資家の皆様へ
 これまでの事業構造改革の成果を踏まえ、新たな成長を目指す「中期事業戦略」を策定しました。玉軸受世界No.1を確保しつつ、自動車用軸受世界No.1を実現するとともに、成長市場である中国でのプレゼンス強化を図ります。
当期の連結実績
代表取締役社長 朝香聖一
代表取締役社長 朝香聖一

 当期は国内・北米の自動車生産の拡大に加え、新規案件の寄与もあり、自動車向け製品の売上が増加しました。さらには「第2次構造改革」によるコストダウン効果も加わり、収益は大幅に改善しました。
 売上高は、自動車向け製品の好調に加え、期の後半から半導体関連設備や工作機械向けの精機製品の需要回復が見られ、前期比419億18百万円(8.7%)増の5,228億20百万円となりました。
 営業利益は、日本、欧州を中心に外部調達費や人件費の削減に努めた結果、前期比139億円(352.1%)増の178億47百万円へと大幅に改善し、営業利益率も 0.8% から 3.4% に向上しました。
 しかしながら、当期純利益については、事業構造改善費用150億30百万円や投資有価証券評価損128億99百万円などの特別損失が影響し、前期より約150億円改善したものの、26億70百万円の損失となりました。
 事業別では、まず軸受については、ハブユニットを中心とする自動車用軸受が伸張し、売上高は前期比 6.5% 増の3,219億60百万円となりました。営業利益は、96.2% 増の221億42百万円となり、営業利益率は 3.7% から 6.9% へと大きく上昇しました。
 自動車関連部品は、国内と欧州で売上を拡大した電動パワーステアリング(EPS)やオートマチックトランスミッション関連部品が好調で、等速ジョイント事業の撤退による減少分を吸収し、前期比 17.6% 増の1,506億63百万円となりました。営業利益は38億77百万円増加して前期の約11倍にあたる42億60百万円となり、営業利益率は 0.3% から 2.8% へと上昇しました。
 精密機器関連製品は、日本では半導体製造装置関連や工作機械向けなどの需要回復が見られ、またアジアで大型液晶カラーフィルター製造用露光装置の販売が拡大したため、売上高は前期比 2.7% 増の348億98百万円となりました。営業損益は62億90百万円の損失でした。しかしながら、売上が2002年3月期下期の131億円を底に、以降は当上期165億円、下期は184億円、と回復しており、それに伴い収益も着実に改善しています。
 財務面では、棚卸資産の削減、設備投資の抑制などで有利子負債削減に努めた結果、期末有利子負債は前期より45億79百万円(1.7%)減少して2,677億79百万円となりました。
 なお、配当につきましては、安定配当の継続を重視し、昨年同様 1株当たり年間 5円とさせていただきます。

第2次構造改革
当期の進捗状況
 当社は軸受全体としては、スウェーデンの SKF 社についで INA・FAG グループ、TIMKEN・TORRINGTON グループとともに2位集団を形成しています。特に、標準玉軸受では単独トップを誇り、シェア17%の自動車用軸受では TIMKEN・TORRINGTON グループ、SKF 社と並んで世界トップレベルの地位にあります。
 自動車部品では、電動パワーステアリング(EPS)において世界シェアの約37%を有しています。ステアリングコラムは米国の DELPHI 社に次いで2位、国内では1位。ステアリングジョイントでは世界、国内ともにトップの地位にあります。
 精機製品では、ボールねじが世界シェア25%を占め第1位、リニアガイドが、国内メーカーの THK 社、日本トムソン社に次いで13%を占め世界第3位です。
(すべて当社推定)
2003年度の課題
 2003年度には、これまで国内を中心に取り組んできた外部調達費用削減と生産革新活動(APS)をグローバルに展開します。また、国内の雇用構造改革を完遂し、能力・成果主義の徹底とそれに連動した新賃金制度を確立、グローバルな競争力を持つ人材育成と新たな人事制度を目指します。
 赤字の精機事業については、回復基調にあるとはいえ、景気変動に耐えうる抜本的な収益体質の変革が急務です。調達コストの削減や、雇用構造改革などに取り組み、2003年度には確実に黒字化させるとともに、損益分岐点売上高を当期末の400億円から300億円へと改善していきます。
中長期の戦略ビジョン
 近年、ドイツの INA 社による FAG 社の買収、米国の TIMKEN 社による TORRINGTON 社の買収など、欧米メーカーの合併が相次いでいます。その一方で、汎用品を中心に中国の軸受メーカーが台頭、グローバルな事業環境はますます厳しいものとなってきています。
 このような環境下、当社は「総合ベアリングメーカー」としてユーザーのニーズに合った製品を供給できる豊富な品揃えと、グローバル調達やコストダウン要請に柔軟に対応できるグローバルな生産体制という強みを生かし、この競争に打ち克っていく所存です。
 特に当社の主要顧客である自動車メーカーに対しては、ハブユニットや EPS のような高い技術力を誇るシステム製品を提供し、顧客の問題解決に貢献する提案型の部品・システムサプライヤーとしての地位を築いていきたいと考えています。
中期事業戦略
 NSKにとって今年度はまさに「成長戦略元年」と言えます。新たな成長のための戦略として、2003年2月に「中期事業戦略」がスタートしました。成長性が高く、かつ当社の事業基盤や技術的優位性を生かせる分野を重点的に強化するとともに、その達成に必要な強靭な財務体質を創出するべく、バランスシートの改革に取り組みます。

成長戦略
 コア事業の筆頭と言える標準玉軸受については、中国や東欧に生産を移管し、中国メーカーの追い上げに対抗できるコスト競争力を実現、さらなるポジションの強化を図ります。あわせて、以下の成長分野・市場を重点的に強化します。

1. 自動車用軸受
 「自動車用軸受世界No.1」のポジションの確立を目指します。特にハブユニットは、当期の売上高伸び率が 24%(320億円から396億円)で、自動車用軸受全体の伸び率(対前期比 16% 増)を牽引する戦略製品です。すでに欧米系の自動車メーカーからの大型受注を獲得しているほか、当期は軽自動車に搭載可能な「HUBK」の開発に成功、高い技術力を背景に、国内外での受注活動を積極的に展開し、トップサプライヤーとしての地位を確実にしていきます。

2. 自動車部品
 需要増大が期待される EPS を中心に、世界トップクラスのステアリングシステム・サプライヤーを目指します。EPS は、国内と欧州を中心に大きく売上を伸ばしており、当期の売上高伸び率は 32.7%(284億円から377億円)です。当期は高出力 EPS システムの開発に成功し、大型車両への搭載が可能になったほか、中国にステアリングコラム・ジョイントを生産する東莞恩斯克転向器有限公司を設立、ステアリング事業の価格競争力強化とグローバル供給体制の確立を図ります。

3. アフターマーケット向け軸受
 一般産業向けの軸受については、ころ軸受を中心にアフターマーケットでの地位向上を目指します。収益性の高いアフターマーケットでは、すでに市場が確立している米州、欧州はもとより、近年急成長しているアジアについても、収益力強化の最重要テーマのひとつとして本格的な取組みが必要と考えています。

4. 精機製品
 精機事業については、技術開発力の強化によって用途別に新世代技術を商品化し、売上増に寄与する新製品の開発に取り組んでいきます。また、トップシェアを誇るボールねじをはじめ、リニアガイドやメカトロ製品についても新規顧客の開拓による販売拡大を目指します。

5. 中国市場
 現在中国では、昆山NSK社の増強、TIMKEN 社との円すいころ軸受合弁生産会社設立、ステアリング製品の生産会社の設立など、数々の大型プロジェクトが進行しています。調達面でも上海に調達センターを開設、中国の低コスト部品を世界各地の生産拠点へ供給する体制を構築しています。また、2003年2月には中国事業を統括する中国傘型企業(投資性公司:持株会社)を設立、生産・販売・調達・技術の全面展開を図ります。

バランスシート改革
 棚卸資産の削減、設備投資の圧縮(効率的な配分)、持合い株式の処分などにより、2005年度末までに有利子負債を2002年度末実績より800億円削減し、D/E レシオ1.0以下を目指します。
 また、設備投資については全体としては圧縮する方向で、投資判断基準の見直しを行い、確実にリターンが見込まれるものについてのみ、グローバルに優先順位をつけて実行していきます。
アライアンスの活用
 グローバル化と軸受業界の再編が進展するなか、成長戦略を効果的に実行するためには、すべてを自前で行うのではなく、アライアンスの拡大や連携などによって、戦略的に事業運営することが重要だと考えています。その一環として、2003年4月には NTN 社よりボールねじ事業を譲り受けることで基本合意しました。また、米国の TIMKEN 社とは、円すいころ軸受やニードル軸受を中心に、さらに連携を深めていきたいと考えています。
持続的成長のために
 当社は「Motion & Control を通して世界に貢献する」という企業理念のもと、「顧客の問題解決に積極的な提案を行っていくシステムサプライヤー」になることを目指しています。私たちは、強い意志と新たな発想を持って、この意欲的な将来のNSKの実現に向けて取り組んでまいります。
 また当社は、ガバナンス体制の強化を重要課題のひとつと捉え、取締役会の構成人数の最適化・活性化に努めています。1999年度には執行役員制の導入に加え、社外取締役を長とする報酬委員会を設置しました。最近では、2003年6月に任意の監査委員会を発足させました(詳細はこちらをご参照)。
 今後とも、株主・投資家の皆様にとって魅力ある企業を目指します。当社の経営戦略に関してご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2003年7月1日
代表取締役社長

代表取締役会長 関谷哲夫 / 代表取締役社長 朝香聖一
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