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NSKアニュアルレポート2002
NSKの株主並びに投資家の皆様へ
 この度、関谷哲夫は会長に就任し、朝香聖一が後任として社長に就任しました。NSKの新マネジメント・チームは、「創造的破壊」を一層加速し、「第2次構造改革」を完結すべく全力を尽くします。
  代表取締役社長
朝香 聖一
代表取締役会長
関谷 哲夫
 
当期の連結業績
 世界的な環境悪化を受け、2002年3月期(2001年度)の業績は厳しい結果となりました。
 売上高は、前期比522億42百万円(9.8%)減の4,809億2百万円となりました。物量の減少による売上総利益346億55百万円の減少に加え、欧州の構造改革等の影響もあり、販売費及び一般管理費が43億7百万円増加しました。その結果、営業利益は218億94百万円(84.7%)減の39億47百円となりました。また、その他の収益(費用)には、多摩川工場跡地の売却益92億76百万円を利益として計上しましたが、株式市場低迷による株式評価損128億98百万円、事業構造改善費用38億50百万円を、損失として計上しました。その結果、残念ながら、当期純損益は前期の114億25百万円の利益から一転、176億96百万円の損失となりました。
 事業別では、まず軸受(ベアリング)については、国内において自動車産業向けが微増であったものの、電機・情報機器向けを中心に各産業で減少し、海外でも欧州・アジアが減少しました。その結果、売上高は3,023億60百万円と、前期に比べ160億45百万円(5.0%)の減収となり、営業利益は112億85百万円となりました。自動車関連部品は、国内・欧州で電動パワーステアリング(EPS)の販売が増加したものの、全体としての売上高は前期比50億24百万円(3.8%)減の1,281億68百万円、また営業利益は3億83百万円でした。精密機器関連製品(精機)は、IT関連需要の大幅下落に伴い、売上高が339億74百万円と前期比240億44百万円(41.4%)の大幅減となり、53億28百万円の営業損失となりました。財務面では、有利子負債が266億1百万円増加して2,723億58百万円となり、D/Eレシオ(負債/自己資本比率)は1.08倍から1.31倍に上昇しました。これは主に、社債償還に備え、一時的に手元流動性を確保したことと設備投資の増加によるものです。設備投資は、今後の成長に不可欠な日・米の新R&Dセンター建設、中国、アセアンの生産設備増強等を中心に361億83百万円となりました。今年度は、設備投資の圧縮や棚卸資産削減と持合い株式の売却によって、有利子負債削減に努めます。
第2次構造改革
 1998年度から取り組んできました「事業構造改革」により、1999年度、2000年度は増収増益を達成しましたが、2001年に入ると、米国のITバブル崩壊に端を発した世界経済の失速によって、NSKの製品に対する需要が急速に縮小し、収益力が低下しました。一方で、ユーザーのグローバル化やボーダレスな企業再編が進み、競争環境が激変しています。この世界的な構造変化に対応し、さらに収益力を強化するために、2001年11月に「第2次構造改革」の実施に踏み切りました。
 これは決して短期的な黒字浮上策ではありません。当社の競争力を一層強化させるための、言わば「NSK再生」のプロジェクトです。その狙いは、厳しい環境にあっても収益力を確保できるように、不採算事業を大胆に削ぎ落として、コア事業の競争力を立て直していくということにあります。

 第2次構造改革は、「国内雇用構造の改革」、「国内生産体制の再編成」、「事業運営・収益責任体制の強化」、「外部調達費用の削減」、「欧州事業の再構築」の5項目から成ります。
 コスト競争力強化のために、国内の総労務費10%、外部調達費用15%以上のカット、また特に、価格競争力が決め手となるミニアチュア〜小径玉軸受と標準玉軸受については、国内生産体制を再編・合理化し、アジアに生産をシフトします。
ユーロ安/ポンド高で苦戦してきた欧州事業は、標準玉軸受を中心に生産を大幅に大陸にシフトすることで英国の生産を縮小し、同時に1,500人を超える人員削減を行ないます。不採算事業から撤退して得意分野に注力し、英国は自動車用軸受、電動パワーステアリングなど高付加価値品、大陸は汎用品にとそれぞれ特化することで、より競争力のある生産体制が実現しつつあります。私たちは、リストラ効果が本格的に現れる2004年3月期には、欧州事業は営業利益段階で黒字化を達成できるものと、自信を深めています。

攻めの経営

 守りだけでなく攻めの経営にも取り組んでいます。コア事業として、標準玉軸受、自動車用軸受、電動パワーステアリング、ボールねじ等世界No.1の事業をさらに強化しています。サプライチェーンマネジメントやe-イノベーションによるサービスの強化にも力を入れてきました。またハーフトロイダル式CVT(無段変速機)に続く大型新製品の開発も欠かせません。「モノづくり」一筋に研鑚を積んできた当社にとって、最大の競争力の源泉は、言うまでもなく技術力です。当社は地域・顧客ニーズに合った製品・サービスをスピーディに提供するため、グローバルに13ヶ所の技術拠点を設けていますが、他方、21世紀のNSKを支える次世代技術については、日本国内で集中的に研究開発を行なっています。2002年4月、当社のイノベーティブで繊細な「モノづくり」の思想を凝縮した「技術開発センター」を、神奈川県の藤沢工場内に48億円をかけて完成させました。これまで部門ごとに分散していた研究開発機能をここに集約し、軸受、自動車部品、精機製品各分野のテクノロジーを融合させた次世代大型商品の開発と、全部門共通の基盤技術の強化を目指しています。すでに、電動リニアアクチュエータなど、次なる飛躍に向けた新製品の開発が進んでいます。これらに加えて、NSKでは今、2つの新たなイニシアティブが動き始めています。

 その第一が分社化です。
 2002年のうちに自動車用ステアリング部門と精機部門を分社化することを決定しました。再編によって巨大化・寡占化が進む自動車メーカー向けの製品と需要変動の大きい精機とでは、自ずから異なる事業モデルが求められます。それはまた、従来の軸受中心の事業モデルとも異なるものです。両事業は今後、自らの収益責任でそれぞれのマーケットに特化して、機動的に事業展開、商品開発を進めていきます。また、日本の小径玉軸受の生産拠点である福島工場も分社化、単独での再生を目指して新たなスタートを切りました。私たちが長らく指向してきた「闘う小集団」が、分社化によっていよいよ現実のものとなります。

 もう一つの攻めの経営がグローバル・アライアンスです。
 2002年4月、軸受の世界最大手SKF社との業務提携に合意しました。これは、当社の英国子会社の航空機向け軸受事業を同社に段階的に譲渡するという限られた内容ではありますが、世界の軸受のトップメーカー同士が初めて手を組んだ歴史的な出来事として非常に意義深いものです。
 また円錐ころ軸受で世界最大手のTIMKEN社とは、トヨタ自動車グループ向けに同軸受のグローバルな共同供給体制を構築することで合意し、併せて中国に合弁で、高い競争力を持つ生産拠点を建設する計画も進んでいます。
 さらにNTN社とは、すでに一部製品の相互OEM供給や特許の相互利用について提携を結んでいましたが、この信頼関係をベースに2002年6月、大形軸受の販売、生産、技術、調達の各業務について、包括的な提携を推進していくことで合意しました。
 軸受業界は再編淘汰が進み、世界でわずか10社程度にまで絞り込まれてきました。当社は今後とも、玉軸受、自動車用軸受での優位性を活かし、世界の「強者連合」の形成を推し進めます。同様に軸受以外の分野でも、必要に応じ提携を推進することで、グローバルプレイヤーとして強力なポジションを確立していきます。

人事制度改革

 一段のコスト競争力強化にとって不可欠な労務費の削減を進める上で、人事制度の改革は避けて通れません。長年続いてきた日本での年功的労務慣行に大胆にメスを入れる時がきました。各事業の業績、個人の貢献を重視した新人事制度は、まず分社化後の新会社に各事業モデルに応じた最適な形で導入、その後NSK本体に拡大していきます。
 2001年4月から全社で取り組んできた「経営革新プロジェクト」によって、組織の末端までコスト意識が高まり、企業風土も大きく変わりつつあります。すべての従業員が自分の役割に誇りと責任を持ち、その結果に応じて報酬を受け取る、という活力に溢れた新しいNSKの企業風土を創り上げていきます。

 当社は「中期事業戦略」で「二桁の営業利益率とROE」を目標として掲げています。そのために、まず2002年度に営業利益、当期利益ベースで黒字体質の回復を目指します。
 米国経済に底入れの動きが見られ、国内も景気回復の兆しがあるとは言え、設備投資の本格的な回復についてはいまだ不透明感があります。マクロ環境の好転によって、当面当社の設備稼働率は急上昇していますが、それによって改革の手綱を緩めるということは決してありません。事業構造の根本的変革なくしては、景気の波に左右されにくい強靭な企業体質を構築することは不可能です。私たちは一丸となって、「創造的破壊」=事業構造改革を成し遂げ、NSKが21世紀に「勝ち組」としてグローバルな市場に確固たる存在感を示せるよう全力を尽くします。今後とも、当社の経営戦略に関してご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2002年7月1日

代表取締役会長

代表取締役社長

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