中期経営計画2年目の当期も
過去最高の売上高・営業利益を達成しました。
2016年の創立100周年に向け、
収益基盤の強化をさらに進めていきます。
取締役 代表執行役社長
朝香 聖一
2008年3月期の連結業績について
当社の事業を取り巻く環境については、一部の地域、産業にダウンターンが見られましたが、全体としてはおおむね堅調に推移しました。旺盛な設備投資関連需要や高成長が続く新興地域の強い需要を背景にして売上高は7,720億円(前期比7.6%増)、利益面では、営業利益は693億円(前期比11.2%増)、経常利益は649億円(前期比12.6%増)、当期純利益は426億円(前期比22.3%増)となりました。原材料価格上昇の影響や減価償却費などの費用増加があったものの、売上・生産の拡大に伴う物量増効果や生産性の改善、外部調達費用の削減、製品値上げ、円安による輸出採算の改善などが寄与しています。外部環境の追い風もありましたが、収益向上のための内部努力と施策の効果も大きく現れており、その結果として売上・利益ともに4期連続で過去最高を達成することができたと考えています。また、営業利益率は9.0%(前期比0.3ポイント増)、自己資本当期純利益率(ROE)は16.1%(前期比 2.1ポイント増)となり、収益性についてもそれぞれ着実に向上、また、NET D/Eレシオは0.56倍、棚卸資産回転数は7.5回転と財務体質の改善も着実に進めることができました。なお、株主の皆様への還元につきましては、このような業績を踏まえ、1株当たり年間19円の配当(前期比3円増)を実施させていただきました。
事業別に見ますと、産業機械軸受は、欧州では成長分野である風力発電向けなど重点産業にフォーカスした拡販施策が奏功し、アジアにおいては高成長が続いている中国をはじめとして設備投資関連向けが好調を維持しました。また、グローバルにアフターマーケット向けも売上を伸ばすことができました。自動車関連製品は、日本においてはカーメーカーの輸出好調を背景に売上が拡大し、アジアにおいては、特に中国、タイでの需要を確実に取り込めたことがトータルの売上増に寄与しました。一方、精機製品事業については、工作機械向け需要は高い水準を維持したものの、半導体・液晶製造装置関連向けは調整局面が継続し、事業全体としては厳しい環境となりました。
これらの結果、産業機械軸受の売上高は2,391億円(前期比10.5%増)、営業利益は物量増や製品値上げ、円安効果等が寄与し335億円(前期比13.3%増)、営業利益率は14.0%(前期比0.3ポイント増)となりました。また、自動車関連製品は売上高4,357億円(前期比9.5%増)、営業利益は物量増や外部調達費用削減効果、生産力向上などの内部努力効果が寄与し、307億円(前期比35.1%増)、営業利益率は7.0%(前期比1.3ポイント増)と大きな収益改善を実現することができました。一方、精機製品は売上高682億円(前期比12.3%減)、営業利益は物量減の影響が大きく86億円(前期比25.3%減)と対前期減収減益となりましたが、前期までの収益体質改善効果もあり、営業利益率は12.6%と2桁をキープすることができました。
このように会社全体としては、精機製品事業のマイナスを産業機械軸受事業と自動車関連製品事業のプラスでカバーし、また、アジア・欧州地域を中心とした海外事業の伸びが大きく貢献したことにより、過去最高の業績を達成することができました。
中期経営計画2年目を終えて
2006年4月、NSKは「トータル・クォリティーにおいて業界No.1の企業になる」ことを中期ビジョンに、「成長戦略」と「体質強化」の2つを基本戦略とする中期経営計画をスタートさせました。数値目標としては、最終年度となる2009年3月期に売上高7,400億円、営業利益740億円、営業利益率10%を掲げました。2年目の当期の業績は、産業機械軸受・自動車関連製品事業におけるグローバルな成長分野の需要を着実に取り込んで売上高が7,720億円となり、目標売上高を1年前倒しでクリアすることができました。営業利益は693億円、営業利益率9.0%と、収益性についても着実に向上しており、「成長戦略」と「体質強化」の両面で成果が実りつつあると評価しています。
また、中期経営計画を成し遂げるために4つの主要施策を推進しています。1つ目は<生産力の強化>です。生産力はメーカーにとっての競争力の源泉であり、生産革新・業務革新・調達革新の3つの視点から“モノつくり力”の強化に取り組んでいます。中期経営計画3年間で1,000億円の設備投資計画に対して、現在1,300億円を上回るレベルの設備投資を見込んでいますが、設備投資及び生産性改善の効果で生産力は着実に向上しており、前期・当期の会社業績に大きく貢献しました。さらに今後、北米での生産体制再編後の効果刈り取りや、稼動が本格化する藤沢第2新工場(藤沢工場桐原棟)、インドNSK-ABCベアリング社など新生産拠点での生産力強化の施策を進めていきます。
2つ目の施策は<製品開発力の強化>です。成長戦略を支える最大の武器は付加価値の高い新製品であり、NSKの持つ基礎研究・設計技術・生産技術を統合した製品開発を一段と活性化し、売上高における新製品の構成比率を高めるよう力を注いでいます。また、中国における生産、販売、技術体制の強化を図るべく、主力生産拠点を担っている昆山NSKの一部門として機能していた技術部門を研究開発法人として独立させ、さらに機能を充実・強化していきます。日本・米州・欧州・アセアン・中国各地域での研究開発体制整備も進んでおり、このグローバルな研究開発基盤を効果的に運営し、成果に結びつけていきます。
3つ目の<グローバルマネジメントの強化>は、効率的な事業運営と意思決定のスピードアップのために必要不可欠です。事業本部、機能本部、地域本部のグローバルな連携を強化するためのインフラ整備、すなわちグローバルな人材の確保と育成、ITシステムの強化、業務スタンダードの整備などの施策を着々と進めており、今後も組織や仕組みを高度化し、グローバルな事業本部体制のさらなるレベルアップをめざします。
4つ目に<海外事業の収益力強化>によるグループ業績の向上を掲げています。現在、NSKグループの海外売上高比率は約50%に達しています。収益については、前期は海外の営業利益比率が30%程度にとどまっていましたが、当期は欧州、アジア事業の収益向上が大きく貢献したことにより40%程度にまで高めることができました。欧州は、風力発電向けなど重点産業別の拡販活動などの施策が実を結び、またアジアは、経済成長が続く中国においてこれまで立ち上げてきた工場の生産安定化やアセアン地域での売上増などが収益拡大に貢献しています。一方、米州においては、自動車販売の不振の影響などにより北米での収益力に課題が残っているものの、産業機械軸受の販売強化や工場集約後の効果の刈り取りによる収益改善を図っています。
2009年3月期の見通し
2009年3月期は、鋼材価格や原油価格の高騰による大きなマイナスインパクトが予想され、グローバル経済の減速、為替の円高基調など過去数年間のフォローウィンドとなっていた事業環境から風向きはがらりと変わり、厳しい環境になるであろうと考えています。このような外部環境のマイナスの変化を乗り越えるべく、産業機械軸受や自動車関連製品での需要好調分野への着実な対応はもとより、収益体質の改善を徹底的に実行することで、売上高8,000億円(当期比3.6%増)、営業利益710億円(当期比2.4%増)、営業利益率8.9%、経常利益670億円(当期比3.3%増)、当期純利益440億円(当期比3.3%増)と、5期連続で過去最高の売上高・利益を目指します。 ただし、中期経営計画の最終年度目標に対しては、売上高は目標の7,400億円を上回る見込みですが、利益目標である営業利益740億円、営業利益率10%については、達成は難しいだろうと考えています。中期経営計画発表時には想定していなかった鋼材をはじめとする原材料価格の大幅な高騰や、北米における自動車販売減の影響もあり、コストアップに対する吸収施策を実施していくものの、効果が現れるまでにタイムギャップが出ることは避けられないためです。まずは2009年3月期目標を着実に達成し、来年度から始まる次期中期経営計画につなげていきます。

- 「収益の成長ドライバー」を担う産業機械軸受事業は、旺盛な設備投資関連需要を背景に売上増、収益改善も進展し会社利益を牽引
- 「安定的な収益基盤」と位置づける自動車関連製品事業は、日系カーメーカーを中心に売上伸張、収益改善も着実に進展
- 「着実な収益貢献」をめざす精機製品事業は、需要拡大局面において生産性改善施策の貢献により収益最大化が実現、中期経

- 産業機械軸受事業は、新興国・資源国でのインフラ投資や風力発電需要の好調が継続、売上高、営業利益ともに順調に伸張し、営業利益率は14.0%に向上
- 自動車関連製品事業は、日本および中国・タイを中心にアジア向けが牽引し増収、生産性向上施策効果の実現により収益改善が大きく進展、営業利益率は7.0%に向上
- 精機製品事業は、液晶・半導体市場低迷の影響より減収減益になるも、これまでの収益体質改善効果により営業利益率は12.6%を確保
- 鋼材価格上昇、為替円高基調、グローバル経済減速という不透明感を増す事業環境のなか、成長分野への注力とともに、収益体質の改善を徹底的に実行
- 売上高は中期経営計画目標とする7,400億円を上回ると予想するものの、外部環境の変化要因により利益面での達成は困難と予想
- 成長戦略と体質強化を柱とする中期経営計画の施策に徹底してこだわるとともに、次期中期経営計画(2009〜2011年度)に繋がる事業基盤づくり
中期経営計画最終年度の重点施策
2009年3月期の重点施策としては、大きく分けて4つの重点課題を実行していきます。
まず1点目が「コストプッシュ要因を確実に吸収」することです。鋼材をはじめとする原材料価格及び原油価格の高騰に対しては、内部努力として工場の生産性向上による労務費の圧縮や間接部門の業務効率化による販売管理費の削減などを進めるとともに、製品価格への適正な転嫁と、需要好調により供給タイトな状況が続いている産業機械軸受分野での製品値上げを実施し、コスト上昇にともなう利益への影響を最小限に抑えます。
2点目は「事業環境変化へ迅速に対応」することです。世界的に景気の先行きが不透明な中、需要動向を常にきめ細かくチェックし、変化の兆しがあった際には素早い情報展開、迅速な対応をしていきます。また、2009年3月期の設備投資は450億円を予定していますが、環境の変化に応じて柔軟かつ的確に対応を実施していきます。
3点目は「体質改善を徹底的に推進」することです。これまでの景気拡大のトレンドから減速基調へと転じている中、外部環境に影響されず着実に収益をともなった成長を持続できる企業体質づくりは最も重要な経営課題です。中期経営計画の柱のひとつとしてこれまでも実行してきましたが、2009年からスタートする次期中期経営計画の基盤づくりのためにも、企業体質の改善を徹底的に推進していきます。
そして4点目は「需要旺盛分野へ着実に対応」することです。世界的な景気が減速傾向にあるとはいえ、インフラ関連向けなどの大形・超大形軸受や、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)、VISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)といった新興国での需要は旺盛であり、これら成長性の高い分野へ着実に対応し、今後の事業拡大に結びつけます。
NSKの企業価値向上についての考え
NSKは、メーカーの原点である製品の品質はもとより、あらゆるサービスを含むすべての品質、すなわち「トータル・クォリティーにおいて業界No.1の企業になる」ことを中期ビジョンに掲げています。そして2006年度から2008年度までの3年間を、創立100周年を迎える2016年に向けた第1ステップとして、収益基盤確立の期間と位置づけました。現在、事業環境が大きく変化している中で、この中期ビジョンの達成に徹底的にこだわり抜くことが次期中期経営計画に繋がり、そして100周年、さらにその先の成長の礎になると考えています。
持続的成長を実現させるとともに、コンプライアンス、環境保全はもとより、事業を通じた社会貢献や働きやすい環境づくりといった社会的責任を果たすことで、さらなる企業価値の向上をめざし、あらゆるステークホルダーの期待に応える企業であり続けたいと考えています。
株主、投資家の皆様には、今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2008年7月
取締役
代表執行役社長

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